2007年11月18日

東京バイオリン その3

作業の前に、インスペクション・ミラーを作ってみました。
といっても、切っただけなんですけど。
前回までの小さな丸形ミラーは取り回しが良くても広範囲の確認には不向きでした。
そこで、きちんと大きな鏡で確認してから作業に入る事にしました。

TVU-17.jpg TVU-18.jpg TVU-19.jpg
素材はこれです。アクリルで出来た鏡。ガラスの加工は大変そうですが、これなら誰でも鋸で切る事が出来ます。難点はガラス鏡より高価、樹脂故に傷つき易い(写真右)、燃やすとダイオキシンが発生する、という事です。廃棄の際は自治体のルールに従う必要があります。
さて、ギコギコ・・・くんくん・・・なんか臭いなあ。う、鋸の摩擦熱で悪臭が発生しております。ダイオキシンの香り?
角を斜めに落としてあるのは・・・後ほど分かります。

TVU-20.jpg TVU-21.jpg TVU-22.jpg
さ、鏡を入れてみました。おお、広範囲が見えます。写真では狭く見えますが肉眼では十分な視界を得る事が出来ました。せっかくなので照明も導入。ま、LEDミニライトをそのまま入れただけなのですが。邪魔になっては意味無いので、出来るだけ小型・軽量にこだわって選んだライトです。このクラスの品はどれも電池寿命15時間が相場の様です。

TVU-24.jpg TVU-23.jpg
では作業・・・の前に、中敷を入れるのを忘れてました。ウェスを敷くだけでも防汚効果があります。で、鏡を出さねば・・・ここで、先ほどの斜めカットの理由がお分かりになります。ご覧の通り、サウンドホールの干渉を避けた形状なのであります。では、何故この様な事を知っているかというと・・・四角いままの鏡を入れて、出せなくなって冷や汗・脂汗をかいたからに他なりません。写真を取り忘れる程ビビリました。


TVU-25.jpg
さあー、やっと作業に入ります。実は手順を見直しました。ピッタリ合わないクラックを削り広げて埋木を入れ、ピッタリ合う部分は接着剤で対応。ブリッジ左にもクラックが通っているので、そこだけ後でパッチを当てます。これが本当のブリッジパッチ。
で、切り出しをカリカリに研ぎ出し、エングレーバーやカッターナイフをアシストに使いつつ溝を広げました。正確には経年変化で劣化したクラックの立て壁を削り落として奇麗な面を露出させるという訳です。もちろん、接着性向上の為です。

TVU-26.jpg
かといって、やたらと幅広な溝にする訳にもまいりません。
写真の様に、0.5 mm前後の溝になる様に削り落としました。ここへ埋木を差し込みます。

TVU-27.jpg
ホンジュラス・マホでストリップを削り出しました。溝の形に合わせて削っているので厚みが微妙に変化しております。もちろん、合わせながらチマチマと削っていくのです。出来上がったストリップの接着にはタイトボンドを使う事にしました。こういう作業にはPVAの方が向いているという事もあります。
結局このウクレレのボディはマホガニーだった様です。ネックはメイプルだと思うのですがねー。

TVU-28.jpg
うーむ、フランケン感が漂っておりますが、とりあえずこれで落ち着く事でしょう。
しばらくはこのままそっと寝かしておいてあげます。
posted by schuntama at 01:01| Comment(12) | TrackBack(1) | 直したウクレレ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
遅く迄、お疲れ様です。

何か、、感じに成って来ましたね。
忘れかけられた、ウクレレも喜んでいるでしょう。
Posted by きま at 2007年11月18日 10:20
おー! ふさがりましたねー

ご苦労さまです。よくやりました!
割れがくっついた後、どんな音で鳴って
くれんのか楽しみです。
Posted by iisan at 2007年11月18日 10:22
ううむ・・・細かい作業ですねえ〜、さすが。

古いウクレレを丁寧に直す。
なんだか感動だなぁ。
Posted by yonaka at 2007年11月18日 12:55
きまさん
製作よりリペアにハマる人も結構いらっしゃる様ですが、
なんとなく分かる気がしてきました。

もう少ししたら、次のステップです。
Posted by schun玉 at 2007年11月19日 06:59
iisan
割れた状態でも良い音で鳴ってましたものね。
本来はもっと良い音だという事になりますから、
これは本当に楽しみです。

それにしても良いウクレレです、これ。
Posted by schun玉 at 2007年11月19日 07:05
yonakaさん
やって分かりましたが、製作とは神経の使いどころが違います。
また直すハメにならない様に、焦りは禁物。自戒。

そういえば、ウチにも割れたのがありました。4号機とかいうの・・・。
Posted by schun玉 at 2007年11月19日 07:23
繊細で丁寧なお仕事に感謝です。
長いこと冬眠させられていたウクレレに光が当たり・・遥かな青春の日々が
走馬燈の様に浮かびます。
長い間の溝が埋まって、たとえフランケン!でも又楽しく語る日がくる。。
そんな気持ちでゆ〜っくり待ってます。

Posted by アロハまま at 2007年11月19日 21:38
アロハままさん
私こそ、大変な勉強をさせて頂いております。
修復の機会を頂きまして、どうもありがとうございます。
再び演奏されている姿を思い浮かべると、殊更作業が楽しくなります。
極力フランケンにならぬ様、埋木に染色してみますね。
Posted by schun玉 at 2007年11月19日 22:45
順調に進んでいるようですね。
トコロデ、私のは、たぶん?モデルナンバーガ335でしたが、修復中のものは、どのようなナンバーなのでしょうか。全体としてはマーチンの0タイプのコピーで、ほぼ寸法もおなじようです。すでにこの時代は0タイプも木製ペグではなかったかと思われますが、なぜ木製ペグだったのでしょうか。私のは現在はすでにペグはゴトーに交換してあります。当時Tokyo Violinについていたものが、3本とヤマハについていたものが、コレもなぜか 残っています。ご希望があれば、差し上げます。Tokyoの木ペグは大変硬質な材が、つかわれております。リペアの進行楽しみです。 
Posted by だるまおこぜ at 2007年11月20日 09:39
だるまおこぜさん
これは330です。「その1」にラベルのアップ写真がありますので、是非確認してみてください。

>なぜ木製ペグだったのでしょうか。
全体像からマーチンを手本にしている事は容易に想像出来ますが、ペグの変遷まで手本とする必要は無いと考えられます。これも想像の域を脱しませんが、バイオリンメーカーなので木ペグであり続ける事に何の疑問や抵抗も無かったのではないでしょうか。尤も、現代のウクレレではそうもいかないでしょうが。

>ご希望があれば、差し上げます。
ご配慮、ありがとうございます。
しかし、これは今となっては大変貴重なパーツです。例え交換していても、オリジナルのパーツとして本体と一緒に所持される事が最善であると考えます。遠い未来、我々がいなくなってもこのウクレレ達は残り続けている可能性が高い訳ですから。
Posted by schun玉 at 2007年11月20日 12:13
そうですね。YAMAHAと比べても、大変丁寧なつくりです。お説のとおり大事にしておくことにいたします。Jguitar,com,Tokyo Violinのウクレレが出ています。リアリー・ミュジックというお店です。ご参考までに。
Posted by だるまおこぜ at 2007年11月20日 15:08
j-guitar.com、覗いてきました。
結構いいお値段ですねー!

やはり貴重な昭和のウクレレ、大事になさってくださいね。
Posted by schun玉 at 2007年11月20日 19:30
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