2006年12月22日

ロン・ヤスダを直してみる 2

RYR2-1.jpg2006-08-14
以前このウクレレをフレット調整した際「まだネックが動く可能性があるので・・・」なんて書きましたが、ホントにその通りとなってしまいました。ウクレレを水平にしてブリッジ側からスナイパーの様に指板を凝視すると、6〜7フレットを頂点にしてネックが「への字」に折れ曲がって見えるのです。当然、開放状態でもビビリますから演奏すると非常に気持ち悪いのであります。への字の高低差は約1mm。またフレットを削ると今度はフレットレスになってしまいます。

という事で、ヤスダ・リペア第2弾は「指板削り/フレット打ち換え」を行ないます。
作業の前に、予めお断りを。
この作業は、完全に我流です。「あ、こいつはこんな事したワケね」くらいに見て下さい。
●フレット抜去
それではいきなりですが、フレットを抜きます。1〜12フレットを抜きました。
12までにした理由はネックジョイントより上のポジションは演奏に影響無しと判断した事と、
端から端まで直すと指板の中間辺りが非常に薄くなるまで削れてしまうからです。

RYR2-2.jpgまずはフレットをグワシと挟み込みます。握力が試されます。






RYR2-3.jpgすると隙間が出来ますので、






RYR2-4.jpg改めてそこから少しずつずらしながら挟み込み、浮かせていきます。





RYR2-5.jpg決してひねらず、引っ張らず、あくまでも挟み込む事で浮かせていったのであります。





RYR2-6.jpgすると、意外なくらいキレイに抜く事が出来ました。工具はフレットプラーを使う筈ですが、持ってないのでフレットカッターで代用しました。




RYR2-7.jpg割と時間をかけずに12本のフレットを抜けました。さっぱり。






RYR2-8.jpgここで、「ゼロフレット位置」と「サドル」を結ぶ様に定規を当ててみました。すると・・・ 「ダメだ、こりゃ!」 byいかりや長介
これで、いかに問答無用なネックであったかお分かりいただけたかと思います。



●指板表面を削る
次に「への字」を削り落として、指板表面をフラットに直します。

RYR2-9.jpg面が捻れない様気をつけて、ひたすら削っていきます。ポジションドットが無くならないか心配でしたが、最後まで残ってくれました。




RYR2-10.jpgここでプチ問題発生。とても見辛いですが、溝のキワがペリ!と剥がれています。演奏に支障はありませんが、なんかイヤなので直すことにします。




RYR2-11.jpg指板はコアなので、似た様な色のコア材からお裾分けしてもらいます。





RYR2-12.jpgそいつを木工用アロンアルファでペトリと接着、硬化後に削ります。





RYR2-13.jpgすると、うーん・・・ ま、やらないよりマシかな、なくらいになりました。この後、この様な現象が大なり小なり続いて起きるのでありました。





●ちょっと寄り道ですが
さて、引っ掛けた訳でもないのになぜこんな事になったのでしょうか。
原因は、指板の木目の通り方にありました。

RYR2-14.jpgこの指板は柾目の材です。






RYR2-15.jpgしかし横から見ると、平行に対し木目が斜めに通っています。この為に削っても削っても薄皮や厚皮が剥がれる様な現象が起きたのであります。




RYR2-16.jpg指板のあちこちにこんなのが発生したので、剥がれの修正は諦める事にしました。柾目なら何でも良い訳では無い、という話を聞いた事があります。海外の製作系サイトでしばしば「Run Out」と記述されるのがこれの事みたいです。




●フレットを打つ前に
削り終えた指板に、あちこちから定規を当ててチェックします。

RYR2-17.jpgそしてもう一度、ゼロフレットとサドルを定規で結んでみました。大丈夫そうです。





RYR2-18.jpg後は溝に詰まったカスをホジホジして、






RYR2-19.jpg浅くなった溝を切り直しして、






RYR2-20.jpg溝のキワを僅かに面取りしたら、準備オッケーであります。






RYR2-21.jpgあ、水性クリアーで軽く目止めもしておきました。







●打ちます、打ちます
ここからは新規製作とあまり変わらない作業になりますね。ただ私はいつも指板単品にフレットを打ってからネックに接着するので、ここが大きな違いです。

RYR2-22.jpg角材にコルクを敷いて簡易台を拵えたら、いつもより力加減に注意して打ち込みしていきます。





RYR2-23.jpgおお、ネックがシャキッとして見えます。






RYR2-24.jpgすかさずバリ取り、面取りします。






RYR2-25.jpgレベリング、






RYR2-26.jpgファイリング、






RYR2-27.jpgエッジ処理等々して、






RYR2-28.jpg弦を張ってみます。当たってませんね。







●仕上げですが

RYR2-29.jpgちょっとビビったのが、いつの間にかヒールに隙間が出来ていた事です。この個体はヒール周り全周をパテで隙間埋めしてあるのが特徴wなのですが、その一部がフレッティングの衝撃で欠落した様です。ネックが起きたかと思いましたよ、んもう。ここには指板の削り粉ブレンドのエポキシを充填しておきます。


RYR2-30.jpg更にフレット横の隙間にもエポキシを充填しておきました。






RYR2-31.jpg塗装には希釈済みでビン入りの神東塗料製セラックニスを使いました。





RYR2-32.jpg若干アンバーが強いものの、十分元色に近い仕上がりです。ジョンソン・エンド・ジョンソンの綿棒でサーッと塗っておきました。






RYR2-33.jpgなんとか出来上がりました!
もうビビらないで下さいよ、ヤスダさん・・・。
posted by schuntama at 02:35| Comment(8) | TrackBack(0) | 直したウクレレ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
最近ロン・ヤスダを入手しました。そこでロン・ヤスダで検索したらこのHPたどりつきました。
全体にカマカに近い造りで、ピッチも例外的に正確で、喜んでいますが、やはり弦高が低すぎることと、サドルとナットのチープさに不満を感じております。もうすこし弦高を挙げれば、テンションも上がり、張りのある音が出るかと思っております。貴下の修理の結果をお知らせいただきたいと存じます。
Posted by だるまおこぜ at 2007年03月19日 08:50
だるまおこぜさん、初めまして。
きっと良い個体を入手されたのかもしれませんね。
我が家のヤスダさんは昨年8月の修繕以来、特に動きは無く安定しております。

私の修理の内容は基本的にキープ・オリジナルです。弦高、テンションに大きな不満は無いのでジオメトリー変更はしていませんし、外見も違和感が無いレベルに留めています。

本当は12F付近をもう少しだけ上げたい気持ちはありますが、それにはサドル高を上げねばなりません。現状ではサドルの突出・埋没量が同等なので、これ以上出っ歯にするとブリッジに負担が増えそうなのでやめました。トップ落ちの原因にもなりかねません。

単純にテンションを上げて音を変えるのであれば弦を交換してみるのは如何でしょう。コオラウ、ワースのフロロ等を検討するのもひとつの手段かもしれません。ちなみに私の今のセッティングはエボニーナットにヒロ弦ですが、オリジナルと音、テンションに差は感じませんでした。今はこれで満足しています。
どうしても弦高を上げないと演奏に支障がある様でしたら、一度プロのリペアマンに現物を診てもらう事をお勧めいたします。

答えになっていないと思いますが、(^^;)取り急ぎ書き込みです。
Posted by at 2007年03月19日 12:40
早速アドヴァイスありがとうございます。特にお聞きしたかったのは、あの奇妙なナットです。普通ナットは、溝を切って、おおむね弦が溝にかかって乗るというか、軽くはまるのですが、ロン・ヤスダの場合。溝の開口部分が狭く、そこを通して、その下の穴に落とし込む込むようになっていて、ナットの上端からかなり下がって、弦がセットされるようになっています。作り直されたナットは、どのように溝切りをなさったのでしょうか。元のサイズのナットの上面に普通の溝を切ると、1mm以上高くなってしまいそうです。ロン・ヤスダはカマカの職人さんだけあって、基本的にカマカのコード弾き用のウクレレの特性を受け継いでいるようにも思えます。となるとあえて、音の粒立ちのよいほうに、変えるのは、どうなのか迷っているのでお尋ねしたしだいです。ふだんテナーのハイテンションに慣れているので、余計そう感じるのかも知れません。
Posted by だるまおこぜ at 2007年03月19日 22:46
こんにちは。まず、お持ちのウクレレのボディサイズと弦長が分からないのですが、仮にボディも弦長もソプラノという事にしましょう。

テナーとソプラノでは弦長が100mm前後違います。当然、テンションはテナーの方がきつくなりますので、ソプラノに持ち替えると物足りなく感じる事と思います。構造的にテンションをきつくするにはヘッド角やペグ位置を変えるしかないと思います。ナットやサドルの対応では限界があります。

ナット溝の深さはナット上面からではなく、1F上面からの距離で決めます。この距離が高いとローポジションの音程が狂い、低過ぎればビビリが発生します。ちなみに作り直したナットの溝の底面は1F上面からコンマ数ミリ上にしています。

溝の深さについては仰る通り、弦が露出する位がセオリーの様です。しかし、ナット上面より埋没するほど深い溝のウクレレが多いのも事実です。何故かは分かりません。ちなみに私が作り直したナットの溝はオリジナルと同じ深さです。但し溝幅は各弦のゲージに合わせた専用ヤスリを使います。横から見た角度はヘッドと平行にします。溝の底面に弦がしっかり接する事が肝要です。ゼロフレット仕様はこの限りではありません。

粒立ちを良くされたいという事ですが、溝の切り方でコントロールするのはプロの技です。私は素人ですのでその辺は経験が無さ過ぎです。m(_"_)m そこでナットの素材を色々と変えるという手段もあります。牛骨、エボニー、カーボン、その他合成素材など、沢山あります。そして、やはり弦の変更ですね。粒立ちを考慮するなら効果があると思いますよ。ナイルガットやフロロカーボンを試されては如何でしょうか。
Posted by schuntama at 2007年03月20日 12:44
重ね重ねありがとうございました。いちばん大事なサイズのことを書き忘れました。オールコアのコンサートです。もしかすると私のヤスダのナットの形状は、ヤスダのなかでも、普通でないのかもしれません。説明がむずかしいのですが、入り口の狭い巾着というか、頂辺の狭い台形というか、その狭い入り口に無理に弦を押し込んで、通してセットします。2弦3弦などは、通すときにパチンと音がするほどです。落とし込むと中はユルユルという感じで、弦の太さと溝の幅があっていません。手元にあるカマカのナット比べてみましたが、カマカの溝きりもかなり深いですね。

テンションの問題はコアロウやナイルガットのような硬い弦が、直近の解決策かもしれません。もともとバンジョーなどを少し弾いたので、3フィンガーで弾くことが多く、なんとなくストローク向きの感じのヤスダをどうにかしたいと思い、お尋ねしました。

とはいうものの、カマカ系の接木なしの平らで薄いネックとヘッドなど、大変気に入っています。ただ製作本数が限られているせいか、インプレッションについての、情報がほとんどないので、これからもHP上で見せていただければと思います。ありがとうございました。
Posted by だるまおこぜ at 2007年03月21日 07:49
ナット溝の形状、理解出来ました。それは初耳!な形状ですね。
何度も弦交換するうちに間口が拡がる・・・事は無いでしょう。
溝の上端だけならご自分でヤスリで削っても大丈夫かもしれません。
とにかくビビリさえ無ければ、当面の問題は無いと考えます。後はお好みの弦が決まってから細かな調整をされると良いでしょう。

ご健闘を祈ります。
Posted by schuntama at 2007年03月21日 08:40
 手っ取り早い方法として、弦を取り替えてみました。候補はコオラウとナイガットです。理由はコオラウはあの硬さです。ナイガットはコンサート専用弦があります。まずコオラウですが、GHS(たぶん)を外した後に入れ替えようとすると2,3,4弦の弦止めのスリットが狭くて入らないのです。4弦はもともとlowG用でないので、ともかくとして、2,3弦まで狭いというのは、他のウクレレにはなかったことでした。そしてコオラウ4弦の太さとあまりのハイ・ンションに絶句。さらには、エンドに結び玉を作ると、ブリッジのくぼみが浅すぎて、まったく収まらないのです。
 
結局あきらめて、今度はナイガットに。スリットを超細ヤスリで広げて、押し込んだのですが、、結局結び玉が弦止めの窪みから露出しているという奇妙なことになりました。 
 
減交換による粒立ちは大きく変わりました。満足しています。
 弦を代えてみて、このロン・ヤスダというウクレレは、もともとは柔らかな弦でのんびりとコードを弾く、ハワイ的な、いわゆるゆるいウクレレかなというのも実感です。しばらく様子を見ようと思います。
  とにかく弦交換にこんなに手間がかかったのは、これが初めてでした。まずは顛末のご報告まで。

Posted by だるまおこぜ at 2007年03月28日 05:38
ずいぶんご苦労されたようですね。
とにかく満足感を得られた様ですので、何よりです。
弦の種類は幾つかありますから、選ぶだけで迷ってしまいます。違うブランドを組み合わせたりゲージを変えてみたりする方法もある様ですので、こちらも深い世界です。
Posted by schuntama at 2007年03月28日 12:15
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